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ここは東京、かつて日本の首都だった街だ。
今では、ほとんどの店舗やビルがシャッターを閉めたまま、まれに訪れる暇人を迎え入れている。
今からさかのぼること30年前の2017年では、日本の人口1億3千万人に対して、東京の人口が1360万人と、約10%の人々が東京に住んでいた。街では人々が着飾り、おしゃれなカフェでブランチする、それが東京の印象だった。
東京から人が離れていった2020年以降に生まれた若い世代は、華やかな東京を知らないのであろう。
そんなことを考えながら、酸味が特徴的なコーヒーを飲むのが翔太郎(しょうたろう)の日課であった。
「ねえ、翔太郎、私たちもそろそろ東京を離れて暮らしませんか?」
と、40年間連れ添った妻の明恵(あきえ)が言った。
「私は東京が好きなんだ、私が若い頃に汗水流して働いた場所、それが東京なんだ」
と、いつものように翔太郎は東京離れの話を濁す。
明恵が地方で暮らしたいというのも無理もない。
廃墟が立ち並ぶ東京とは違い、地方のほうが自然は豊かだし、活気があるためである。
今から思い返せば30年前の2016年の出来事だった。
第3次安倍第2次改造内閣の発足とともに、一億総活躍社会実現のために働き方改革担当大臣を設置し、内閣総理大臣決裁で「働き方改革実現会議」を設置した。
「働き方改革実現会議」では、主婦の働きやすい環境や、地方で働く環境など、様々な「働きやすさ」を奨励していった。
その改革の中でも、よく目にするようになったのがテレワークだった。
テレワークとは、オフィスに来なくても自宅や、カフェなどで仕事をすることだ。
「私は東京離れに起因しているのがテレワークだと思っている」
2016年頃は、テレワークを導入している企業も少なかったが、働き方改革によって一部の企業が、週に2回までの利用や、導入部署の限定など制限をかけながら導入していった。
「あなたの会社も、2016年頃からテレワークが導入されたのですか?」と、明恵が言った。
「そうだな」
当時私は、KDDIウェブコミュニケーションズ(以下「KDDIウェブ」という)というIT企業にいた。
30年前の2016年ころはIT企業がGDPの5%を締めており、IT企業を中心にテレワークの導入が進んでいった。
理由はテレワーク導入のためのツールがもともと揃っていたことが制度導入の敷居を下げていた。
そんなKDDIウェブも10年間以上増収増益で、頑張っていたが、
AI(人口知能)が、ITの仕事を次から次へと奪っていき、頑張りはしたが時代の流れに押しつぶされていった。
「あの頃私も、週2回テレワークを行なっていた」
「テレワークが導入される前は、家から会社まで片道1時間、往復2時間かけて電車で通っていた」
「今考えるとなんて無意味な時間だったのかと思う」
通勤時間帯の電車は地獄だった、「押した押してない」と喧嘩をしている者や、隣のイヤホンの音がうるさいと怒鳴っている者、歩きながらスマートフォンを操作し人にぶつかるなど、色々なストレスがあった。
テレワークが導入されだすと、家で仕事をするのも、自宅で仕事をするのも、同じ仕事ができるのに、なぜ会社に行かなくてはいけないのか......と、疑問に感じる者が増えてきた。
そして2018年頃になると様々な企業にテレワークが導入されていった。 テレワークが導入されるにつれ、会社にも様々な変化が起こっていった。
時代の変わり目がビジネスのチャンスだが、この時代にテレワークを支える技術やサービスを売る会社が増えてきたのも言うまでもない。
働き方としてオフィスで仕事をする環境から、自宅で仕事をする環境になっていった。そのためどこからアクセスしても社内と同じ環境となる技術(システム)が求められた。
テレワークを支える技術
(会議システム)
テレワークを支える技術として、欠かせなかったのが会議システムであった。
会議をするために2017年頃、よく使われたアプリケーションは下記などである。
Skype
誰とでも、チャット、グループ通話・会議、画面共有、ビデオ通話が利用可能で安定した通話ができる。 またSkype for Businessを利用することで250人までの同時接続や、相手のオンライン状況を確認して、Outlook で会議のスケジュールを設定し、Word や PowerPoint などのアプリから会話を開始できる。 また、会話は、強力な認証機能と暗号化機能で保護され、従業員のアカウントと機能も社内で管理できる。 Windows、Mac、iOS、Android™ でクライアントを使用すると、どこにいてもチームとつながることができ、Skype for Business を使用すると、あらゆる規模の会議にリモートから参加できる
チャットワークLive
チャットツールとして企業に導入されていたのがチャットワークである。
エンジニア界隈ではSlackも人気だったが、分かりやすいUI設計と、低価格で利用できるのが決め手となっていたようだ。
そのチャットワークに付随しているのが、チャットワークLiveである。
グループ通話、画面共有、チャット、ビデオ通話などが利用可能。
Zoom
グループ通話、画面共有、チャット、ビデオ通話が利用できるが、会社での利用を考えると有料版が必要。 音声品質が良いのと、常に立ち上げていることができるので、各地に散らばったメンバーが1つのオフィスにいるような環境を実現できる。
その他にも電話API Twilioを使うと、少ないコードで会社オリジナルの通話システムの構築ができた。
テレワークを支える技術
(情報共有)
情報を共有するためのストレージなどは企業の考え方によって多少違った。
クラウドにファイルをアップロードして良い企業では、Dropboxや、Google Driveが利用された。
Google社から提供されていたGoogle Docsや、Google スプレットシートなどは、様々なビジネスの業務効率化に一役かっていた。
どのように業務を効率化していたかというと、Google Docsは、Google Apps Script(以下GAS)という機能があり、2025年頃に小学校の義務教育に追加されたJavaScriptを使うことで、様々な業務の自動化を行うことができた。
例えば、Google スプレットシートに見積もり項目を入力すると、自動で見積書が作成され、見積もり書をクライアントに送信(Gmail)する。
見積書に書かれている支払期日を、カレンダー(Google カレンダー)に自動で入力される。見積書の共有はGoogle Driveで共有。これら一連の流れはGASを使い簡単に自動化することができた。
これらのサービスを提供していたGoogleも、ほとんどの社員が自分達の作ったAIに仕事を取られていった。
コンプライアンスの観点上、情報共有がクラウドにできない企業は、社内環境にファイルサーバーを設置しファイル共有を行っていた。
外部からの接続にはVPN(バーチャルプライベートネットワーク)を利用し、外部から社内のネットワークに参加し、ファイルサーバーを利用していた。
このように社外ネットワークから、社内ネットワークに接続し、社内にいるのと同様の環境整備は、2016年から、2020年頃に急速に浸透した。
そしてテレワークの設備が整いだすと、社員の大半は会社に来ることなく仕事に従事した。
テレワークの導入が進むにつれ人事評価に対する考え方も変わっていった。これまで会社で仕事をするのが当たり前で、会社に来ることがいわゆる仕事をしている証拠だったため、上長のご機嫌取りや、勤務態度なども評価の対象だった。
しかしテレワークは自宅で仕事を行うため、仕事をしているのか、していないのかが分からなくなった。そこで評価軸として、その社員が何をしたかという実績が、より求められるようになったためである。
これまで会社に来て勤務態度さえ良く見せていれてば評価されていた社員も、そうでなくなり、実績が評価されるようになった。仕事ができる社員はより成果を出すようになり、できない社員は淘汰されるようになった。
実に合理的であった。
会社のメリット
- 東京のバカ高い一等地にオフィスを構えなくて良い
- オフィス設備を少なくできる
- 地方の優秀な人材を採用できる
- 評価制度が見直され、優秀な人材がより評価されるようになる
- ライフイベントで良い人材が辞めるリスクが減る
- 生産性の向上
社員のメリット
- 通勤が不要
- 地元で働ける
- 仕事をした分評価があがる
- 通勤時間を自分の趣味などに充てることができる
「あー、そうだそうだ、テレワークが導入されだした当時に、KDDIウェブの人事や、カルビーなどにインタビューしたノートがあっただろう」
「それを持ってきてくれないか明恵」
「はい、分かりました」と明恵はゆっくりと席を立った。 しばらくすると明恵が、古びた黒のノートを持ってきた。2017年当時のテレワークに対するインタビューがメモされていた。
カルビー株式会社
取材日:2017年4月
カルビー株式会社(以下「カルビー」という)は、ポテトチップス や、朝食に欠かせないフルグラなどを販売するスナック菓子メーカーだった。 2017年当時、テレワークはIT企業を中心に導入されていたが、カルビーは、非IT企業かつ一部上場企業で、テレワークを導入したということから、注目が集まった。
テレワーク導入のきっかけ
2014年4月から効率的な働き方や、ライフワークバランンスを求めて、在宅勤務制度が導入された。 導入当時は週2日を上限として、家で仕事をするのが条件だった。
導入から3年が経過した2017年4月に、カルビー 松本 晃会長の提案で、この制度がより柔軟なものになったという。
松本会長は、働きやすさ改革に力を入れ、カルビーの売り上げを毎年増収増益につなげていた。
2017年4月からの制度
2017年4月から、これまで導入していた制度をより柔軟に変更した。変更内容は「在宅勤務」から、「テレワーク」に変更(家でなくてもどこでも作業可能に)。週2日利用できる制限を、週に何日でも利用可能に変更。
制度を導入してから、約半数の社員が週に1回程度、テレワーク制度を利用しているとのこと。
今後もテレワークの利用が増えていくのではないかと予想していると中村氏は語った。
メリット・デメリット
続いてメリット・デメリットについて聞いてみた。
[メリット]
- 通勤がなくなるので疲れない
- スーツを着なくて良いので疲れない
- 通勤という最大のストレスがなくなることにより仕事に集中ができる
この結果、様々な計画が予定通りに進むようになったとのこと。
デメリットは特にないとのことだったが、強いてあげるとすると、コミュニケーションが減ったとのこと。
活用しているツール
非IT企業なのでツール類の整備はこれからとのことだが、2017年4月現在で下記のツールを使いテレワークを行っている。
- VPN:社外から社内のネットワークに接続するための技術
現在はiPhoneからしか接続できないが、今後ネットワークを問わず接続できるようにするとのこと。 - WebEx:Cisco社が開発している電話会議システム
- OfficeDARTS Ⅱ:KOKUYOが開発した、オフィスのどの場所にいるか検索するためのシステム
人事評価に対する変化
もともとカルビーは人事考課が無く、成果目標の達成率でボーナスが変わるとのことで、テレワークが導入されてから人事評価が変わったことは無いとのこと。
(以前は成果の過程もみていたが、何年か前より成果が評価されているとのこと)
その他働きやすさを求めた内容
現在コアタイム制(10時から15時まで)が導入されているが、今年度中にフルフレックスを導入予定。
現在の残業時間は10時間 〜 20時間/月くらいだが「毎週水曜日の早帰りDay」などを導入し、残業時間を無くそうとしている。
その他カルビーが実施している、働きやすさ改革や、社会への取り組みはカルビーのWebサイトを参照してほしい。
従業員のために | 社会への取り組み
日本マイクロソフト株式会社
取材日:2017年4月
日本マイクロソフト株式会社(以下「マイクロソフト」という)は、ビジネスパーソンに欠かせないWindows OSや、Azure、Microsoft Office 365などのソフトウェアを開発・販売する会社である。 2017年当時誰もが知っているIT企業だ。
テレワーク導入のきっかけ
マイクロソフトが働き方の生産性向上を推進して15年になる。テレワークに代表される働き方改革を本格導入したのは2011年。 導入のきっかけは、もともとが生産性向上のソリューションを展開する会社という背景や、テクノロジーの進化もあったかが、現在のオフィス(東京品川)に移転したときに、フリーアドレスを導入したのがきっかけだと井口氏は語る。移転直後に震災があり、BCPの一環でテレワークを全社で実施したことも加速の要因となった。 フリーアドレスになり、自分の固定席がなくなったことで、どこに座っていいかわからず、という状況から、慣れていくと自分の働きやすい場所で仕事をするようになった。次第に「どこにいても仕事ができる」に変わり、業務が完全電子化されると「いつでもどこでも仕事ができる」徐々に「会社に来なくても仕事ができる」という感覚になってきたと言う。 フリーアドレス導入当初は全社での実施ができなかったが、固定席を減らしたスペースで、作業集中部屋を作ったり、コミュニケーションをとりやすい会議コーナーを増やしたり等、改善を繰り返すことで最終的に全社フリーアドレスにしていった。(一部例外有り)
テレワーク導入当時は週2回以下の利用で、上長の承認が必要など制限も多くあったが、次第にテレワークが認められていき、現在ではテレワークの報告さえすれば特に制限等はないとのこと。
働き方改革については、企業文化・ビジョンとして 社長の最プライオリティに設定し推進している。
ツール、ルール、企業文化を醸成するために、社長みずからSkype for Businessで社員と直接コミュニケーションをとるなど、テレワークを自らお手本として推進することで、 会社内での認知拡大と、社員2,000名を抱える大きな会社にもテレワークが根付いた。
メリット・デメリット
[メリット]
- 休みを取ることなく、できることが増えた。
(子供の送り迎えや、家族の介護などの家族との時間を増やすことや、習い事など) - 通勤時間を有効活用できるようになった
(もちろん通勤ストレスもなくなった) - 家で仕事をすると好きな洋服・ノーメイクでも働くことができる(笑)
- 自分のリズムで仕事ができて、集中でき、アウトプット品質があがった
- ぎっくり腰など身体的に歩けないだけのときでも、自宅で就労できた。
台風や大雪など悪天候でも、事業継続ができる
仕事のオン・オフのつけかたが変わった。また通勤時間もなくなるので、無駄なストレスもなくなることから業務効率が上がっていった。
デメリットは、会社に慣れた人はデメリットが無いとのこと。 しかし新入社員など、テレワークに慣れていない者は顔を見て話せないことに対して不安がるなどのデメリットもあるそうだが、慣れてしまえば問題は無いとのこと。
活用しているツール
- Skype for business
電話会議システムで、オンラインミーティングに使っている。内線、外線も含めてSkypeで繋がる。最大200人まで同時接続可能。 - Office365 Business
Office365 Businessを契約すると、Wordや、ExcelなどのOfficeアプリケーションや、ファイル情報共有サービスのSharePoint、メールなどが使える。このアカウント1つで様々な情報をクラウドから取得し利用することが可能。 - ネットワーク
Windowsを立ち上げると、自動でVPN接続され、どこにいても会社と同じネットワーク環境が実現できる。
iOS、WindowsPhone、Windowsなど、古いOSを使っていると、ネットワージから遮断され、自動(勝手に)でアップデートされる仕組みが採用されている - 居場所検索システム
自社開発した居場所検索システムを利用すると、社員がどこにいるかの検索が行える。
世界をリードするIT企業だけあり、テレワークを支えるツールが充実している。
テレワークに関したシステム一新を考えている中堅中小企業は、「Office 365 Business Premium」の契約で、チャット、オンライン会議、クラウド電話、Office製品、ファイル共有などテレワークに必要なツールが全て揃えることができる。
共同作業ができるOfficeや、回線が安定しているSkype for businessが1つの契約で使えるので魅力的なサービスである。大企業向けにセキュリティの強化や大組織でのコラボレーション・コミュニケーション機能を可能にする Office 365 SPE E5などのオファリングがある。
人事評価に対する変化
元々 成果に対する評価システムのため、テレワーク導入により変わるものでは無いとのこと。
生産性向上のための取り組み
マイクロソフトでは最近ではさらなる生産性向上のためにAI(人工知能)の使用や、ビジネスプロセスを自動化するとりくみを行っている。
その他、製品サービス例として、MyAnalytics がある。個人の生産性を高めるために最も重要な 2つの要素 「時間の使い方」と「よく一緒に仕事をする同僚」を分析することができるのだ。会議、メール、業務中、業務後に使った時間の詳細情報が可視化される。また、周りの人と、どのように共同作業を行えばよいかの推奨情報が得られる。
日本ツクリダス株式会社
取材日:2017年5月
日本ツクリダス株式会社は、「モノを作る」「モノを作る企業をサポートする」会社で、中心となる製造・加工部門以外にも、ものづくりに必要な管理ソフトウェアの開発やホームページ集客なども行っている。大阪に本社を構える社員数10名の小規模企業である。
テレワーク導入のきっかけ
今回は代表取締役 角野 嘉一様にテレワークに関する話を伺った。
日本ツクリダス株式会社では、データ入力作業と、広報という2つの業務に対してテレワーク化を実現している。
● データ入力作業をテレワーク化したきっかけ
小ロット単品加工を主体に営業を行っているため、日々の受注処理量が量産対応の会社より多い傾向にあり、2014年当時は、2.5名体制で行っていた。
さらに伝票管理ソフトと、納品管理ソフトと2つのシステムに同じ内容を2度入力しなくてはいけない状況だった。
この受注処理を効率化するために、自社で生産管理ソフトを開発した。
そして、生産管理ソフトがクラウドだったため、入力作業をテレワーク化できるという発想にいたったと角野氏は語った。
入力作業を行うのは社員の家族。こうすることにより信頼性も担保されながら、社員の所得が増えるというメリットもあった。
社内にいる事務作業者は、入力などの単調作業ではなく、チェックや管理という業務に時間を使えるようになったとのこと。
● 広報をテレワーク化したきっかけ
日本ツクリダス株式会社のような10数名程度の社員数では、広報を雇う体力がない。
自社PRしたいが、実現できていないのが現状だった。
しかし自社PRしたいという想いから、考えた結果、広報の在宅化に辿りついたという。
メルマガ、ブログをテレワークで書いてもらうだけでも非常に大きな効果があったと角野氏は語った。
業務を効率化する上で、在宅ワークを使っているとのこと。
メリット・デメリット
[入力作業のテレワーク メリット]
- 人件費の大幅削減が実現、社内事務員の業務内容をより重要な内容にシフトできた
[広報のテレワーク メリット]
- 零細企業でも広報展開が可能になった
同業者におもしろいと注目してもらえる
[メリット]
- 当社のような町工場でも優秀な人材が確保できた
- 働くことが難しい方でも働けるようになった(3人子供がいるなど)
- 時間に縛られないので働きやすい
デメリットに関しては、ほぼ無いとのことだが、入力作業に少しだけタイムラグが生まれるとのこと。
人事評価に対する変化
部分的に作業の切り出しを行っているため、特に評価に対する変化はないとのこと。
入力作業は入力した件数によって報酬体系を採用できるようになった。
活用しているツール
- サイボウズLive
広報が取材内容の共有と、不足情報や報告などをサイボウズ内で行っている。 - DropBox business
データ受け渡し用のファイル共有サービス - Googleハングアウト
オンライン会議用用のツール - OneDrive
Microsoft word、Excelなどの共同執筆や、ファイル共有
今後について
今後は広報の一環で、プレスリリースや、マーケティング、SEO、デザイン、コールセンターなど様々な方面で導入できないか検討を進めている。
実際にテレワークを導入してみて、規模の小さい事業者にとっても十分に使える仕組みだということだけでなく、積極的に活用していける方法であることを実感している。
株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ
取材日:2017年5月
株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ(以下「KDDIウェブ」という)は、CPIホスティング事業を基盤に、Jimdo、Twilio、g.o.a.t などウェブサービス事業を展開しているITベンチャー企業だった。
導入のきっかけ
今回はKDDIウェブにテレワークを検討し、導入した人事部 部長の宮崎 和幸氏に話を伺った。
テレワークの検討は2014年の春ころから人事総務部で始め、2014年10月からお試し期間を設けスタートした。
当時は積極的に実施する部署と、実施してくれない部署があった。
保守的な部署はテレワークにすると管理がしにくくなることや、セキュリティ面についての懸念などから、なかなか実施できなかったとのこと。
導入後少しずつテレワークが社内で認められていき、2017年4月から対象部署などを拡大し、全社でテレワークの制度利用が可能となった。
現在では1割程度の社員が1月に1、2回程度利用しており、宮崎氏は、今後さらに利用者が増えてくると思うと語った。
会社に認められてきた理由については、認められたと言うよりは、テスト導入し、皆が慣れてきたと言うのが一番大きい。 本格的な導入は安倍首相の「働き方改革実現会議」の設置も制度を後押ししたとのこと。
メリット・デメリット
[メリット]
- 家なので集中できる
業務をするのに家でも会社でも差が無くできる。 - 長期で見たときにライフイベント(結婚、出産、引っ越しなど)などで、辞めるリスクを減らせる
デメリットは、社内に残った人が必然と電話を取る回数が増えた。管理側として、部下の顔が見れていないと不安という声もあるが、次第に慣れてくるのではないかと予想している。
活用しているツール
- Pulse Secure
VPN接続用のアプリケーション - VMware Horizon Client
VPN接続後にVMware Horizon Clientからシンクライアントに接続。社内のネットワークにアクセスし、ファイルサーバーや、勤怠管理システムを利用することができる。 - チャットワーク
コミュニケーション用のチャットで、オンライン会議用のチャットワークLiveが付属されている。 チャットワークLiveは最大14人まで同時接続が可能。
現状利用しているツールは以上だが、より良い会議システムの検討と、誰がテレワークしていて、どこにいるのかを検索できるシステムを導入したいとのこと。
人事評価に対する変化
現状は特に変化はないが、人事としてはより成果を求めるようにしていきたい。
生産性向上のための取り組み
2017年4月から、8時間勤務だったのを7.5時間に変更。 時間と場所にしばられるのを撤廃し、勤務時間を自由にしていきたいとのこと。
テレワークの推進を行いつつも、同時にオフィスに来たくなるオフィス作りを進めている。その一つとして社内でカイロプラクティックや、鍼灸の施術を1回1000円で受けることができる。
取材を終えて
4社に共通していたこと
取材した4社は数千人規模の会社から、10名の会社まで、会社規模は様々だったが、どの会社もメリットを大きく感じているが、デメリットはさほど感じていないという意見だった。
そして、どの企業も業務効率化のためにテレワークを導入し、それなりの効果を得ている。
社員はプライベートの時間が増える、ストレスが低減する、時間に縛らないなどのメリットを感じていた。
一部上場のカルビー、マイクロソフトは、フリーアドレスをきっかけに、オフィスにいる必要性の考えが低下したことと、トップからの強い推進によりテレワークが実現している。
すこし気になったのが、家で仕事すると、さぼる社員が出てくるのではないか?ということだ。
これは会社に来ていても、さぼる社員はさぼるとのこと。テレワークにしたからと言って、それは変わらないと各社とも見解が一致した。
ただしテレワークは、言われなくても考えて仕事をする社員の自主性が重要なのではないかと考えている。
活用していたツールは各社違ったが、必要なツールは4つで、「ファイル共有ソフト、会議システム、コミュニケーションツール(チャット)、VPN(Virtual Private Network)」である。これらの技術を使い家にいるのと会社にいるのと同じ環境を実現し、テレワークの導入進めた。
そして
2017年頃にテレワークを導入している企業は多くはなかったが、次第にテレワークの合理性が認識され、限定的だったテレワークが徐々に拡大していった。
テレワークの拡大とともに、これまで企業はオフィスがある都市近辺の人材しか雇用が出来なかったが、地方に住む優秀な人材の採用もできるようになった。
地方採用及び、テレワークの拡大により、東京に住むメリットがなくなったのである。
もともと東京に住む者は、人口集中による交通渋滞や価格の高騰などに不満を持っており、東京に住むメリットが無くなったと分かった途端、東京から人が離れていったのだ。
地方に人が集まることで、地方と地方を結ぶ公共交通機関も発達した。
2025年に完成したリニアモーターカーで、日本中どこにいても1時間以内に移動できるようになった。
「私がバリバリ仕事をしていたころは、東京、大阪間が2時間30分もかかったんだ」
「乗車料金も今の倍以上したんだ」
「そんな時代もありましたねー」と、明恵は微笑んだ。
そして2020年を境に東京から人が減り始め、2025年に東京の人口が半分になった。2017年頃には地方の過疎化に悩ませられていたが、2020年以降一気に問題が解決された。
地方に人が集まり、そして定年退職した者が第二の職業として農業、酪農を中心に、地方の労働力を向上させた。
働き盛りが中心に国を支え、定年した者が食をささえる、理想的な日本が出来上がった。
このような日本の未来を、2017年頃に想像できただろうか。
テレワークが日本を変え、東京を砂漠化した。まさに「テレワーク砂漠」なんだ。
「そうだ明恵、地方に住む話のことなんだが.......」
「もう少しだけ東京に居てもいいか?」
「私には、まだ東京でやり残したことがあるんだ」
明恵は一呼吸置き、少し呆れ顔で翔太郎に答えた。
「はい、私も東京が好きですから。気が済むまでいてください」
「しかし、やり残したこととは一体何ですか?」
「政府の働き方改革により、景気の回復や、地方での雇用が増えるなど、理想的な日本ができあがった」
「しかしその副作用で東京が砂漠化してまったんだ」
「私は東京に再び人を呼び戻すために色々と調査をしている。まだ調査中だからはっきりとしたことは分からないが、上手くいけば華やかな東京に戻すことができるんだ」
と、翔太郎はキラキラとした目で明恵に伝えた。そして再び調査を続けるのであった。
つづく
Special Thanks
物語は全てフィクションですが、取材内容は全て事実に基づいた内容です。
テレワークの素晴らしさを伝えたい気持ちで書き始めた記事ですが、結果多くの方の協力を得ることができました。改めまして、ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。
欧米ではすでにテレワークは一般的ですが、日本ではまだまだ導入が少ないです。当記事を通じて、より多くの企業でテレワークが導入され、働きやすさの向上により、日本企業の生産性が向上する。このように当記事が少しでも社会のお役にたてることを願っています。
取材協力
- カルビー株式会社
広報部 幕内 理恵様、人事総務部 中村 有佑様 - 日本マイクロソフト株式会社
働き方改革推進ビジネスリード 井口 倫子様、テクニカルエバンジェリズム本部 大森 彩子様 - 日本ツクリダス株式会社
角野 嘉一様 - 株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ
人事総務部 宮崎 和幸
イラスト
- 株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ
菊池 有理
企画・執筆
- 株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ
エバンジェリスト 阿部 正幸