サーバーの仮想化とは、仮想化ソフトウェアを使って1台の物理サーバー上に複数の仮想的なサーバーを構築する技術を表します。このサーバー仮想化の仕組みは大きく3つに分かれ、「ホストOS型」「ハイパーバイザー型」「コンテナ型」となります。
今回は、それらサーバーの仮想化の仕組みと、そのメリット・デメリットについて解説していきます。
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1.サーバーの仮想化とは
冒頭でも軽く触れましたが、サーバーの仮想化とは、ソフトウェア(仮想化ソフトウェア)を使い、物理サーバー上に複数の仮想的なサーバーを構築することです。
そして、この仮想的なサーバーを「仮想サーバー」と呼びます。
仮想化において物理サーバーは1台ですから、CPUやメモリなどハードウェアリソースは1つしかありません。しかし、仮想化技術は仮想サーバーごとにCPU処理量やメモリ容量を振り分けるため、仮想サーバー同士でCPUやメモリを取り合わず、独立したサーバーのように動作します。
2.仮想化を支える3つの技術・仕組み
「ホスト OS 型」、「ハイパーバイザー型」「コンテナ型」の3つが仮想サーバーを実現する代表的な技術・仕組みです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
◇ホスト OS 型
ホスト OS 型とは、物理サーバーの OS(ホスト OS )にインストールした仮想化ソフトウェア上で、サーバー(仮想サーバー)を構築する技術です。そして、この仮想サーバーの OS はゲスト OS と呼ばれます。仮想化のための専用 OS を用意する必要がなく、アプリケーションと同じように手軽に実行できます。
◇ハイパーバイザー型
ハイパーバイザー型は、物理サーバーのハードウェアに仮想化ソフトウェア(ハイパーバイザー)を直接インストールして、仮想サーバーを構築する技術です。
◇コンテナ型
コンテナ型の最大の特徴は、ゲスト OS を起動しないことです。ホスト OS とコンテナエンジンで動作し、アプリケーションに必要なものをまとめたコンテナを、1つの仮想スペースとします。
3.仮想化を支える3つの技術・仕組みの処理性能の差
また、これら3つは、ハードウェアにアクセスする仕組みが違うため、処理性能に差があります。
ホスト OS 型の場合、仮想サーバーがホスト OS を介して CPU やメモリなどのハードウェアリソースにアクセスするため、ホスト OS 分の余計な処理(オーバーヘッド)が生じます。
一方で、ハイパーバイザー型の場合はホスト OS を使わず、ハードウェアに直接インストールされているハイパーバイザーを介して、ハードウェアリソースにアクセスします。そのため、ホスト OS 型に比べると余計な処理が抑えられ、仮想サーバーはより高いパフォーマンスでの動作が可能です。
最後にコンテナ型ですが、これはホスト OS+コンテナエンジンの形になります。ホスト OS 型、ハイパーバイザー型と違い、ゲスト OS を必要としないため、負荷が小さく、動作も速いです。
ホスト OS 型は、仮想サーバー技術として古くからある手法であるため、以前はサーバー仮想化の主流となっていましたが、現在ではより高いパフォーマンスを誇るハイパーバイザー型が仮想化技術の主流となっています。最近ではコンテナ型も増えてきており、新しい潮流になりつつあります。
4.サーバー仮想化のメリット
サーバーの仮想化を行うメリットとしては、以下の4つが挙げられるでしょう。
- サーバー集約によるコスト削減
- 省スペース化
- サーバー数を柔軟に増減できる
- ハードウェアの活用効率が高い
◇サーバー集約によるコスト削減
通常時にほとんど処理をしないサーバーや、稼働率が低いサーバーは無駄なコストの原因となります。自社の各拠点に設置したサーバーがあまり稼働していないというケースは、よくあることでしょう。
しかし、複数のサーバーを仮想化して1台のサーバーに集約すれば、物理的なサーバーは1台で済むため、コスト削減につなげられます。
◇省スペース化
前述の通り、複数の物理サーバーを仮想サーバーとして構築すれば、物理サーバーの台数を減らすことができ、省スペースになります。
◇サーバー数を柔軟に増減できる
仮想サーバーは、仮想化ソフトウェアをインストールして設定するだけでサーバーを構築できるため、物理サーバーの構築に比べれば導入コストを削減できます。
また、サーバーが不要になった時、物理サーバーは廃棄の手間がかかります。
しかし、仮想サーバーであれば、ソフトウェアをアンインストールするように、不要な仮想サーバーを削除するだけでサーバーを減らすことが可能です。
サーバー数の増減にも柔軟に対応できるという点は、仮想サーバーの大きなメリットといえるでしょう。
◇ハードウェアの活用効率が高い
仮想サーバーは、設定によって CPU やメモリの使用量を決められます。つまり、個々の仮想サーバーに割り当てるハードウェアリソースを変えることで、効率良くハードウェアリソースを活用したサーバーの稼働を実現できるということです。
5.サーバー仮想化のデメリット
一方、デメリットとしては以下の3つが挙げられるでしょう。
- 処理性能の低下
- リソースの見積もりが難しい
- 障害対策が必要
◇処理性能の低下
仮想サーバーは、仮想化ソフトウェアを介してハードウェアリソースにアクセスするため、処理性能の合計は物理サーバー単体と比べて低くなります。
そのため、仮想化したことで、かえって処理スピード落ちてしまう可能性もあります。
◇リソースの見積もりが難しい
複数のサーバーを仮想化して1台にまとめられるメリットがある反面、仮想サーバーは物理サーバーのハードウェアリソースを共用します。
そのため、ハードウェアリソースが予期せず不足する可能性があるので、物理サーバーのスペックは余裕を持つ必要があります。
◇障害対策が必要
仮想化技術を使えば、物理サーバーに複数台のサーバーを集約できますが、物理サーバーに障害が発生すると、すべての仮想サーバーが影響を受けてしまいます。そのため、より入念な障害対策をしたほうが良いです。
仮想化技術を使えばサーバーを集約できるため、多くのメリットがあります。しかしその反面、集約することによってリソースや障害対応などのデメリットが生じることも忘れてはなりません。
まとめ
サーバーの仮想化は、複数のサーバーを集約できるため、省スペース化、リソースの有効活用など多くのメリットがあります。サーバーを集約することで生じるデメリットもありますが、どのようにすれば仮想化の恩恵を受けられるかをしっかりと検討しましょう。その上で、仮想化を活用すれば、より効率的にサーバーを利用することができるでしょう。