検索エンジンで上位表示を狙うことは、Web サイトの運営者にとって大きな目標の1つではないでしょうか。
その際に意識したいのが「ドメインパワー」です。サイトのドメインパワーが低いと更新したコンテンツが検索エンジンにインデックスされにくく、アクセスが集まらない状態が続きます。どのサイトでも最初はアクセスが集まりづらいですが、この期間はやきもきしますよね。
本記事では、ドメインパワーの基礎知識をまとめました。あわせてドメインパワーの測定方法や、パワーを上げるためのコツも分かりやすく解説します。
目次
- ドメインパワーとは
- SEO においてドメインパワーが重要な理由
- ドメインパワーの計測方法
- ドメインパワーを上げる方法
- ドメインパワーを上げる時の注意点
- 新サイト立ち上げの際に知っておきたいドメインに関する SEO の知識
- ドメインパワーの向上には長期にわたる対策が必要
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ドメインパワーとは
ドメインパワーとは、その名の通り「ドメインの力」を意味する言葉です。その他に「ドメインオーソリティ( Domain Authority : Moz が開発)」「ドメインランク」とも呼ばれます。
Google や Yahoo! などの検索エンジンは、検索順位を決める際、個別のコンテンツだけでなくドメインごとにサイト全体の評価もしていると言われています。
このドメインパワーは検索エンジンからの信頼性と考えることもでき、掲載されているコンテンツの質が高く、頻繁に更新しているサイトほど高く評価される傾向があるのです。
ドメインパワーは後述するチェックツールを使うことで、点数のような形で測定できます。
ドメインパワーに高い低いの明確な目安はない
ドメインパワーの数値がいくつなら高いのか、低いのかといった目安はありません。
Google もドメインパワーの目安や評価基準は明らかにしていないため一概にパワーの高い低いを決めることはできないのです。
ドメインパワーは相対的なものだと考え、競合サイトと比較して自社サイトが高いか低いかを判断するのが良いでしょう。
SEO においてドメインパワーが重要な理由
昨今の SEO 対策において、ドメインパワーはとても重要だとされています。自社サイトのコンテンツを検索上位に表示させたいなら、ドメインパワーを上げることも意識しましょう。
なぜドメインパワーが SEO において重要なのか、具体的な理由を解説します。
コンテンツが優先的に検索上位に表示されやすくなる
ドメインパワーが高いサイトほど、検索エンジンから信頼されている良質なサイトと言えます。
そして、検索エンジンはユーザーに満足してもらえるよう、質の高いコンテンツを常に検索上位に表示する取り組みをしています。
つまり、ドメインパワーの高いサイトほど優先的に上位表示されやすいと考えられるのです。
仮に2つの異なるサイトが同じ内容のコンテンツを更新したとしましょう。この場合、検索エンジンはドメインパワーの高いサイトのコンテンツを優先して上位表示する可能性が高いということになります。
新規コンテンツがインデックスされる速度が上がる
ドメインパワーが高いサイトは、検索エンジンのクローラーが頻繁に巡回します。このクローラーがサイトを巡回することで、検索エンジンにコンテンツがインデックスされるのです。
つまり、ドメインパワーが高くなるほど新規のコンテンツがインデックスされる速度が上がるということになります。
ドメインパワーが低いうちはクローラーがサイトを巡回する頻度も少なめです。そのため、コンテンツを公開してもすぐにはインデックスされません。競合サイトのドメインパワーやコンテンツの内容にもよりますが、最低でも数週間〜数ヶ月はかかる場合が多いでしょう。
ドメインパワーの計測方法
ドメインパワーは Google が計測し、発表してくれるわけではありません。各運営者が自力で調べる必要があります。
その際に役立つのがチェックツール。調べたいサイトの URL を入力することで、大まかなドメインパワーを計測可能です。無料で利用できるものもあるので、サイト運営者からするとありがたいですね。
しかし、チェックツールはサイトについた被リンクの数だけを元に計測している場合が多く、正確なドメインパワーを割り出しているわけではありません。大体の数値を調べる方法としてお役立てください。
次に紹介する5つのツールがおすすめです(各ツールの特徴は、本記事公開時点でのものになります)。
- パワーランクチェックツール(無料)
- Moz(無料)
- Majestic(無料〜)
- Ahrefs(有料)
- Rank Tracker(有料)
パワーランクチェックツール(無料)
検索ボックスに URL を入力することで、そのサイトのドメインパワーを割り出せるツールです。
基本無料で使用できますが、アカウント未登録の場合は24時間につき1回しか検索できないので注意してください。
特定のキーワードで上位表示されるサイトのドメインパワーを一括で比較する機能もあり、非常に使い勝手の良いツールです。
複数サイトのドメインパワーを一気に調べるには不向きですが「自社サイトのドメインパワーを調べるだけ」などであれば、このツールがおすすめです。
Moz(無料)
出典: Moz
海外のサイトである Moz の「 LinkExplorer 」という機能を使うことで、特定サイトのドメインパワーを計測可能です。使用するには無料の会員登録が必要となります。
Majestic(無料〜)
出典: Majestic
自社サイトおよび競合サイトの被リンク数を計測できるツールです。ドメインパワーを比較することもできます。
登録は無料ですが有料プランがあり、本格的に分析をしたい場合は有料プランに登録するのがおすすめです。
Ahrefs(有料)
出典: Ahrefs
Ahrefs が提供する「 Site Explorer 」という機能で、サイトのドメインパワーを調査できます。
こちらは有料ツールであり、無料での利用はできません。その分、調べたサイトの被リンク数や獲得しているキーワードの順位なども細かく割り出せます。
Rank Tracker(有料)
出典: Rank Tracker
こちらも有料のサイトです。ドメインパワーの計測やキーワードの順位、各種 SEO 対策に役立つデータを抽出できます。
「 Majestic 」「 Ahrefs 」「 Rank Tracker 」は有料プランを提供しているツールです。費用や機能を比較してから利用を開始しすると失敗しにくいでしょう。
ドメインパワーを上げる方法
ドメインパワーを上げるには、どのような方法があるのでしょうか。
主に、以下の方法が効果的だとされています。
- 質の高いコンテンツを増やす
- 長い期間運営する
- 良質な被リンクを集める
- アクセス数を増やす
ただし、ドメインパワーは検索エンジン側が決めている相対的な評価であり、サイト運営者が行った対策の全てが結果に結びつくとは限りません。
あくまで「サイト運営者ができる基本的なドメインパワーを上げる方法」だとお考えください。
質の高いコンテンツを増やす
ドメインパワーを上げるために、まず意識したいのがコンテンツの質です。
- 記載している情報に誤りはないか
- 最新の情報か
- ユーザーが欲しい情報を的確に伝えているか
- 情報に網羅性があるか
などが質に関わります。
検索エンジンは質の高いコンテンツを検索上位に表示し、良質なコンテンツを更新しているサイトを高く評価する傾向があります。
ユーザーの意図にそぐわないコンテンツや、競合サイトのコピー記事などを更新するのは NG 。ドメインパワーは上がらず、むしろ評価が下がっていく可能性もあります。最悪の場合ペナルティを受けることも。競合サイトのコピーをして良いことはないので気をつけましょう。
長い期間運営する
サイトの運営期間もドメインパワーに影響するとされています。立ち上げたばかりのサイトに比べ、運営期間が長いサイトほど検索エンジンから高く評価される傾向があるのです。
ただし、サイトを立ち上げてから何も手を加えず放置していた場合、たとえその期間が長かったとしてもドメインパワーは上がりません。
長い期間運営するというのは「長期にわたってコンテンツを更新し続ける」ということです。
「更新頻度の高さは SEO に直結しない」という見方もあるようですが、定期的に更新し続けているサイトはリピーターがつきやすくアクセス数の増加につながる可能性が高いです。 SEO の目的がアクセスの獲得ならば、更新頻度を高めることも効果的な方法だと言えるでしょう。
良質な被リンクを集める
被リンクとは、外部のサイトから自社サイトに向けられたリンクのことです。「外部リンク」「バックリンク」とも呼ばれ、この被リンクの数もドメインパワーを決める要因になります。
被リンクが多いと、検索エンジンが「他サイトからも参照されているサイト」なため有益な情報が掲載されていると判断し、高い評価につながりやすいとされているのです。
重要なのは「良質な」被リンクという点。単純に被リンクがドメインパワーにつながるのであれば、自分で大量にサイトを作り、ドメインパワーを上げたいサイトにリンクさせるという抜け道があるように思う方もいるのではないでしょうか。
昔はこの方法でドメインパワーを上げているサイトがたくさんありました。しかし、この方法は「ブラックハット SEO 」の1つとされ、現在は Google からの評価を下げる手法とされています(ブラックハット SEO については後ほど解説)。
自作自演するのではなく、実際に運営されている外部サイトから自然な形で被リンクを集めることが大切です。
アクセス数を増やす
アクセス数が多いサイトは検索エンジンからの評価が高くなる傾向があります。ドメインパワーが上がり、検索順位も高まるとさらなるアクセスが集まり、ドメインパワーはどんどん高まっていくでしょう。
アクセスを集める方法として、代表的なものを紹介します。
- 更新頻度を高める
- SNS でコンテンツを拡散する
- キーワードを意識してライティングする( SEO ライティング)
- アクセスの多い外部サイトに寄稿してリンクを貼ってもらう
- クリックしたくなるタイトル・メタディスクリプションを考える
- 複数の媒体でユーザーを集める
アクセスを集める時にも、抜け道のような方法はできるだけ使わないように注意。自然なアクセスを集めるための対策を試してください。
ドメインパワーを上げる時の注意点
ドメインパワーを上げる時に注意したい点をまとめました。大切なのは「不正をせず、ユーザーに対して真摯に向き合う」ということです。
ここで紹介する方法を使うと、ドメインパワーが下がる可能性があるので気をつけてください。
中古ドメインの購入はマイナスの評価も引き継ぐ
新しくサイトを立ち上げるとき、中古ドメインを使う方法があります。検索エンジンからの過去の評価を受け継げるため、新規のドメインより早いうちからアクセスが集められる可能性があるのです。中古ドメインを使ってサイトを立ち上げることは不正ではありません。
長く運営してきたサイトほどドメインパワーが高まりやすいことを考えると、中古ドメインを使うのは効果的な SEO 対策と言えます。
ただし、引き継ぐのはドメインのプラスの評価だけではありません。マイナスの評価も引き継いでしまう点に注意が必要です。
仮に購入した中古ドメインのパワーがとても低かった場合、この方法は効果的とは言えません。また、過去に検索エンジンから違反行為をしたと見なされ、重いペナルティをもらっている中古ドメインもあります。
中古ドメインを購入する際は、新規にドメインを取得する場合のメリット・デメリットと比較してからにしましょう。
中古ドメインについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
中古ドメインは SEO に効果があるのか?新規ドメインと比べたメリット・デメリットも解説
ブラックハット SEO はサイトの評価を下げる可能性が高い
「良質な被リンクがドメインパワーを高める」という項目で説明したブラックハットSEO 。具体的な方法として、次のようなものが有名です。
- サイトを大量に作成し被リンクを設置する
- 他サイトのコンテンツをコピーする
- キーワードを文中に不自然に埋め込む
2000年代初頭はこのような方法を使ってサイトのドメインパワーを高め、コンテンツを検索上位に表示させる手法が流行しました。
結果としてユーザーが求めていない低品質なコンテンツが上位表示されることになり、 Google がアップデートを実行。ブラックハット SEO を行っているサイトを軒並み検索圏外まで弾き飛ばしたのです。
以降はユーザーの満足を考え、良質なコンテンツを更新する「ホワイトハット SEO 」が主流となっています。ドメインパワーを上げるにしても、 SEO 対策をするにしても、ユーザー視点に立ったサイト・コンテンツ作りが重要です。
新サイト立ち上げの際に知っておきたいドメインに関する SEO の知識
サイト運営者にとってドメインパワーが最も気になる期間は、サイトを立ち上げてからコンテンツが増えるまでの数ヶ月〜1年ほどではないでしょうか。
コンテンツ公開後のインデックス速度が段々と上がってくると、ドメインパワーを意識する機会は少なくなると思います。それまでは我慢が必要になるでしょう。
我慢の期間を少しでも短くするために、ここからは新サイト立ち上げの際に知っておきたいドメインに関する SEO の知識を紹介します。ドメインパワーを上げるために次のことを行ってみてください。
共有ドメインではなく独自ドメインの取得がおすすめ
サイトを立ち上げるためにドメインを取得します。「独自ドメイン」か「共有ドメイン」を取得するのが一般的です。
独自ドメインとは、世界で1つだけ、オリジナルのドメインのことを指します。共有ドメインとは、ブログサービスやサーバー会社が提供する1つのドメインを複数のユーザーで共有するというものです。
独自ドメインは戸建て住宅の住所、共有ドメインは集合住宅の住所をイメージしていただくとわかりやすいでしょう。
SEO 対策という面で考えると、おすすめは独自ドメインの取得。独自ドメインは自分で行ったSEO 対策が直結するため、効果として現れやすいとされています。
共有ドメインの場合はドメインパワーも共有するため、自分のサイトだけ SEO 対策をしても効果が薄い可能性があるのです。
独自ドメインについては、こちらの記事で解説しています。
自分のドメインを取得するメリットとは?ビジネスなら独自ドメインを取ろう
ドメイン名は SEO に影響しない
独自ドメインを取得する際、迷うのがドメイン名ではないでしょうか。 SEO で有利に働くドメイン名があるなら、それにしたいですよね。
しかし、 Google は次の動画でドメイン名は SEO に影響しないと発表しています。
https://youtu.be/ABlWd80TwM4
無理やりサイトのメインテーマに関するキーワードを含めたり、長いドメイン名に設定したりする必要はないでしょう。
ドメイン名の考え方・決め方については、こちらの記事で解説しています。
ドメイン名の決め方を解説!失敗しないためのポイント3つ
ただ「 TLD (トップレベルドメイン:「 .com 」「 .co.jp 」などの部分)」については意見が分かれます。
TLD の中でも、国・地域ごとに割り振られた「 ccTLD ( Country Code Top Level Domain )を使っているドメインは、該当する国や地域での検索順位が上がりやすいという見解があるのです。そのため日本国内に向けて情報発信する場合、自社サイトのドメイン名を、日本に割り振られた ccTLD である「 .jp 」にする企業が多く見られます。
現状、 ccTLD がどの程度 SEO に影響するかというデータは出ていないものの、もし使う場合は情報発信する国・地域と合わせておくと安心でしょう。
TLD については、こちらの記事で詳しく解説します。
トップレベルドメイン( TLD )とは?種類や選び方を初心者向けに解説
早めの検索上位獲得を目指すならサブドメインを使う
既存のサイトがある場合、新規サイトには既存サイトのサブドメインを使うのも効果的だと言われています。これにより既存サイトのドメインパワーを共有する形で利用できるため、新規サイトでもコンテンツを検索上位に表示させやすくなるということです。
既存サイトとリンクさせドメインパワーを高める
新サイトに既存サイトのサブドメインを使わない場合、サイト同士、あるいはコンテンツ同士をリンクさせるのがおすすめです。既存サイトから新サイトへの内部リンクを作ることで検索エンジンからの評価が上がり、ユーザーが流入する可能性も高められると言われています。
少しでも関連するコンテンツがあれば、積極的に内部リンクを貼りましょう。
ドメインを変更すると検索順位が変動する可能性あり
ドメインを変更すると検索エンジンが別のサイトであると判断し、順位が変動する可能性があります。
コンテンツを更新してきても、ドメインを変えることでドメインパワーがゼロになってしまうリスクがあるということです。これまでやってきた努力が水の泡になってしまうのは避けたいですよね。
もしドメインを変更する必要がある場合は、次の手順を踏むようにしてください。
- 現在のページの URL をリスト化
- URL マッピングを作成
- リダイレクトの設定(301リダイレクト)
- Google Search Console でアドレスを変更
- サイトマップの送信
ドメインパワーの向上には長期にわたる対策が必要
ドメインパワーはすぐに上がるものではありません。長い期間サイトの更新を続け、質の高いコンテンツを発信していく必要があります。
近道をしようとしてブラックハット SEO に手を出すのは禁物。コツコツとサイト運営を続けていくことがドメインパワーアップの近道です。