AWS の料金を徹底解説!算出方法・安くなるコツ・注意点まで紹介

AWSの利用料金
 
「 AWS はどれくらいの料金がかかるだろう」
「 AWS の料金体系を詳しく知りたい」
「見積もる上で、何に注意すべきか」
 
このようにお考えの方へ、本記事では AWS の料金について詳しく解説します。サービスの基本料金を始め、料金を決める要素やコストを抑えるためのコツ、見積もる上で注意したいことについても丁寧に解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
 
※当記事中に記載の料金は、AWS アジアパシフィック(東京)リージョン選択時のものとなり、2023年5月12日時点のものとなります。最新の情報は、AWSのサイトをご確認ください。

目次

 

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AWS の料金概要

AWSの料金概要
 
まずは AWS の料金概要について、以下3点を挙げます。
 
  • 選択するサービスで料金が異なる
  • 従量課金制
  • 無料利用枠
 
それぞれ解説します。

選択するサービスで料金が異なる

AWS には、200個以上ものサービスが用意されています。それぞれ基本料金と課金体系が異なり、どのサービスを選択するかで請求金額も大きく変わってきます。
 
例えば、AWS で Web システムを構築するために Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) で仮想 OS を用意するとします。EC2 は、CPU ・メモリなどのシステムリソース、OS のライセンス、ストレージ容量、トラフィック(外部システムや機器への通信量)等で料金が決まります。
 
仮想サーバーにデータを保管する場合は、EC2 と組み合わせが可能なストレージサービス、Amazon Elastic Block Store (EBS) を利用します。EBS は1 GB 単位やスナップショットの頻度や変更量などで料金が決まります。
 
データベースサーバーを導入する場合は Amazon Relational Database Service (RDS) が代表的です。PostgreSQL や My SQL、Microsoft SQL Server、Oracle Database など、どのデータベースを選択し、どのインスタンスを選択するかなどで料金が変わります。
 
また、Web サイトやアプリケーションのデータを外部システムにバックアップするために、「 Amazon Simple Storage Service (S3) 」を利用する企業もいます。S3はストレージ容量・リクエスト(S3のファイルにアクセスすること)とデータ取り出し、データ転送速度などで料金が決まります。
 
上記の通り、AWS はサービスによって料金体系が異なるため、自社がどのサービスを利用するか、それぞれのサービス単位の料金体系を詳しく知ることが大切です。

従量課金制

AWS の大きな特徴は、使えば使うほど料金が加算される従量課金制を採用していることです。
 
例えばインスタンス(仮想 OS のこと)の起動時間が増えると、費用も追加されます。システムを使わない時間にインスタンスを停止すれば、その間は課金されません。システムリソースである CPU・メモリ・ストレージ容量が増えることでも、合わせて料金も増えます。
 
AWS は従量課金制のため、自社のシステムのピーク利用時の処理量、アクセス数や格納容量等を意識することが大切です。 想定外の請求が発生しないためにも、必要な最大の稼働時間とシステムリソースがどれくらいかを考えて、年間どれくらいのランニングコストがかかるかをしっかりと把握しましょう。

無料利用枠

AWS には3つの無料利用枠が用意されています。1つ目は特定のサービスを有効にした日から開始される「無料トライアル」、2つ目は契約してから1年間有効な「12ヶ月無料」、そして3つ目は「常に無料」のサービスです。
 
例えば AWS で代表的な EC2 には、12ヶ月の無料期間が用意されており、1ヶ月に最大 750 時間分のインスタンスが利用できます。インスタンスには、 Linux 、 Windows の t2.micro が含まれています。
 
S3 も、サービス契約から1年間は無料で、5 GB の容量を利用可能です。どのサービスも無料枠を超えると課金されるという仕組みです。
 
AWS では100以上のサービスを無料利用枠として利用できるため、どのサービスを選んだら良いかわからない場合は、まずは1年間スモールスタートで試すのが良いでしょう。実際に使ってみて料金感覚を掴み、どのサービスを続けるか判断することが大切です。

AWS の料金を構成する要素

AWSに必要な料金について、一般的なECサイトなどを運用する場合において、以下5つの要素を挙げます。
 
  • 稼働インスタンス
  • ストレージ (ディスク) 容量
  • スナップショット
  • データベース
  • データ転送量
  • 運用保守料金
 
それぞれ解説します。

稼働インスタンス

AWS に必要な料金として、稼働インスタンスがあります。インスタンスとは、AWS 内における1つの仮想サーバーのことです。CPU・メモリ、ストレージなどを組み合わせた、多くのインスタンスタイプが用意されており、インスタンスタイプによって料金が異なります。
 
例えば、Amazon EC2を利用し、最小構成のインスタンスタイプ「 t4g.nano 」(vCPU:2コア メモリ:0.5Gib ストレージ:EBS )を選択した場合、1時間あたり「0.0054 USD 」がかかります。「 t4g.2xlarge 」(vCPU:8コア メモリ:32Gib ストレージ:EBS )の場合は「0.3456 USD」が必要です。
 
起動するインスタンスの数と、それぞれ稼働時間が増えるほど料金も加算されます。

ストレージ (ディスク) 容量

AWS に必要な料金として、ストレージ(ディスク容量)もあります。ストレージには、 Amazon EBS(ブロックストレージ)、Amazon S3(オブジェクトストレージ)や、Amazon EFS(ファイルストレージ)など様々なものが用意されています。
 
Amazon EC2に直接アタッチ可能な、Amazon EBSは、汎用 SSD (gp2) ボリューム利用の場合「 1ヶ月にプロビジョニングされたストレージ 1 GB あたり 0.12USD」が必要となります。
 
ストレージは実際に利用した分、また選択するボリュームタイプによって料金が決まります。

スナップショット

AWS に必要な料金には、Amazon EBS スナップショットもあります。
 
EBS スナップショットは、S3に格納されます。 スナップショットとは、仮想 OS のシステム全体をイメージとしてバックアップする機能です。バックアップソフトウェアに比べて短時間、かつ少ない容量でシステムイメージを保持できる、という特徴があります。
 
スナップショット取得料金について、1ヶ月あたり1 GB の利用で、スタンダードプランが「0.05 USD 」、アーカイブプランでは「0.0125 USD 」必要です。
 
スナップショットで取得したデータを用いて復旧する際も課金されます。1ヶ月あたり1 GB の利用で、それぞれスタンダードプランは「無料」、アーカイブプランは「0.03 USD 」かかります。
 
EBS にはスナップショット専用の領域があり、取得・復旧する際のデータ量で課金されます。

データベース

データベースには、従来のアプリケーションや、エンタープライズ、ゲームアプリケーション向け、IoT向けなど様々なものが用意されています。
 
Amazon RDS for MySQL(マルチ AZ) を利用した場合、db.m1.small の利用で「0.15 USD」が毎時発生し、利用量によって変動します。また、データベースストレージとして、汎用 SSD (gp2) を利用の場合、1か月あたり 利用量×「0.276 USD」が発生します。

データ転送量

AWS に必要な料金として、データ転送量もあります。データ転送量とは、Web システムにアクセスする、ファイルをダウンロードする、アップロードする、外部サーバー・プリンタ機器などと連携する際に発生する通信量のことです。
 
EC2 の料金例を紹介します。インターネットから EC2 へのデータ転送は無料となります。EC2 からインターネットへのデータ転送については、中国と GovCloud (独立した機密データを扱う AWS ) を除くサービスとリージョンで、合計 100 GB が無料となります。 それを超えると、月利用1 GB あたり0.114 USD (10TBまで) など、課金されます。
 
AWS は、転送量に応じて課金されます。 一般的なデータ転送量は上記となりますが、同一リージョン別アベイラビリティゾーンの通信や、別リージョンへの通信など構成によって発生する費用もあるため、見積もり時には注意が必要です。

運用保守料金

AWS では運用体制によって、運用保守料金も発生することがあります。 運用保守料金とは、自社ではなく、運用保守代行会社(MSP:マネージドサービスプロバイダー)が AWS 環境を保守・管理する場合に発生する費用です。保守内容の例として、AWS が問題なく稼働し続けているかの監視、障害対応などがあります。
 
自社ではなく、運用保守代行会社が用意したAWSを利用するケースもあり、その際は AWS 環境も運用保守料金に含まれることが多いです。

AWS の料金の算出方法

AWS 料金を算出する方法について、以下3点を挙げます。
 
  • AWS の料金試算例の確認
  • 見積もりツールの利用
  • スペシャリストへの相談
 
それぞれ解説します。

AWS の料金試算例の確認

AWS 料金を算出するための方法として、AWS の料金試算例の確認があります。 AWS の公式サイト(https://aws.amazon.com/jp/cdp/)に、よく使われる代表的なクラウド構成の料金試算例が公開されています。
 
料金試算例を見れば、自社の目的・用途に合わせた構成とその料金を調べることができます。必要なサービスメニュー・数量・単価・料金の表が用意されており、機能単位でそれぞれ必要な料金を一覧で確認できますので、自社が想定しているパターンを選択して料金試算しましょう。

見積もりツールの利用

AWS 料金の算出方法として、見積もりツールの利用があります。
 
AWS は初期費用が少額なものの、毎月かかるランニングコストが大きく変わる可能性があります。想定外の費用発生を防ぐためにも、導入前に見積もりツールを使って費用を算出することが大切です。
 
代表的な見積もりツールとして Amazon の公式サイトの「 AWS Pricing Calculator 」があり、簡易的な見積もりを取ることができます。必要項目・オプションを入力すれば大体の費用がわかり、自社が導入する場合の構成パターンの参考になります。 マニュアルも用意されているので、参照しながら費用を確認しましょう。
 
AWS Pricing Calculator は、デフォルトは英語で表示されていますが、日本語に変更することも可能です。
 
公式サイトではないものの、もう一つの便利なツールとして「ざっくり AWS 」という手軽に計算可能なツールも公開されています。正確さよりもざっくり手軽に計算することを目的としており、インスタンスの種類・インスタンスの個数・データ転送量・ストレージなど、最小限のパラメータで費用確認が可能です。
 
AWS 料金を算出するためには見積もりツールを使って、自社の想定パターンに沿った料金を確認しましょう。

スペシャリストへの相談

AWS 料金を詳しく算出するためには、AWS のスペシャリストへ相談することもおすすめです。
 
AWS の公式サイトから問い合わせることで、料金に関するサポートを直接受けることができます。自社の想定システムや構成など、個別の相談内容に応じて必要な料金を算出してもらえるため、実際の運用イメージに近い費用を確認できます。 確実、かつ専門家に相談しながら細かな費用を算出したい、と考えている担当者におすすめの方法です。
 
https://aws.amazon.com/jp/contact-us/sales-support-pricing/

AWS の請求金額を抑えるコツ

AWS の請求金額を抑えるコツについて、以下3点を挙げます。
 
  • インスタンスの停止
  • リザーブドインスタンスの活用
  • コストツールで定期的な見直し
 
それぞれ解説します。

インスタンスの停止

AWS の請求金額を抑えるコツとして、使わないインスタンスを停止することです。例えば開発機・検証機用に用意したインスタンスはもちろん、本番機においても夜間休日など、システムやサービスを利用しない時間にも停止する運用を徹底することが大切といえます。
 
インスタンスの起動時間が積もると、大きな金額となります。必要な時のみにインスタンスを稼働すること、使わない時は停止してしっかりとコストを抑えましょう。

リザーブドインスタンスの利用

リザーブドインスタンスを利用することも、AWS の請求金額を抑える方法です。リザーブドインスタンスとは、前もって1年分または3年分の予約をして金額を支払うことです。オンデマンド料金に比べて最大72%など、大幅な割引が適用されます。
 
リザーブドインスタンスは EC2 や RDS など、特定のサービスに限定されているサービスです。契約前から運用期間が1年以上と決まっている場合は、利用することをおすすめします。

コストツールで定期的な見直し

AWS 導入開始後に、コストツール「 AWS Cost Explorer 」「 AWS Trusted Advisor 」を使って定期的に構成を見直すことも、請求金額を抑えることに有効といえます。
 
AWS Cost Explorer とは、月次もしくは日次で AWS の使用量の可視化・コスト算出ができるツールです。使用量を見て、インスタンスの使い分け・契約内容の見直しを図ることもできます。
 
AWS Trusted Advisor は、AWS のベストプラクティスに基づく5つのカテゴリにわたるチェックと推奨事項を提供しており、その一つの機能としてコスト最適化が用意されています。
 
導入前だけでなく、運用開始後も稼働状況を確認し見直しを図ることも、コスト削減のために重要です。

AWS の料金に関する注意事項

AWSの料金に関する注意事項
 
AWS 利用に必要な料金について、注意事項を以下3点挙げます。
 
  • 保守料金が必要
  • ランニングコストが膨大になるケース
  • 想定外の費用発生
 
それぞれ解説します。

保守料金が必要

注意事項としておさえておきたい1つ目は、保守料金が必要になる可能性があることです。AWS の運用において機能の一部を運用保守代行会社(MSP:マネージドサービスプロバイダークラウドベンダー)に保守委託する場合は、一定額の料金がかかります。
 
例えば、インスタンスの稼働時間を少なくするために毎週金曜日の17時にサーバーをシャットダウンする、月曜日にサーバーを起動する、という運用管理を依頼すると、運用保守側の作業工数として一定の金額がかかります。
 
自社の情報システム部門担当者が全ての作業を実施する場合は保守料金がかからないものの、運用保守代行会社に委託する場合は保守料金が必要になることを意識しましょう。

ランニングコストが膨大になるケース

注意事項の2つ目として、ランニングコストが膨大になるケースがあることです。AWS はクラウドサービスのため、初期費用が少なくオンプレミスサーバーよりも手軽に始められる、というメリットがあります。
 
しかしながら使い方や保守体制によっては、ランニングコストが膨大になる可能性も考えられます。制限なくデータを格納する、外部との通信が多い、運用の一部作業をクラウドベンダーに委託する等でランニングコストが増える場合があるので注意しましょう。

想定外の費用発生

注意事項の3つ目として、想定外の費用が発生することです。AWS は毎月の運用内容で料金が決まるため、導入前に想定していた金額よりも多くの費用が必要になることもあります。
 
例えば、インスタンスを計画通りに停止できていなかった、格納データ量が当初想定よりも遥かに多い、などが挙げられます。
 
また保守体制においても、自社のみではなく、 システムの一部機能を開発しているベンダーへの依頼が必要になるケースなど、体制に応じた費用が発生する可能性もあります。
 
AWS 導入時は想定外の費用が発生することも考えて、サービス契約前にリスクも含めた料金算出をしましょう。

自社の運用に AWS が適切か判断しよう

本記事では、AWS の料金概要、料金を構成する要素、算出方法、請求料金を抑えるコツ、注意事項について解説しました。
 
AWS はオンプレミスサーバーに比べて、少ないコストで手軽に始められるというメリットはあるものの、ランニングコストが毎月一定額ではなく、使い方によっては多額の費用が請求される、という恐れも十分に考えられます。
 
また、運用面の工数・コストを考えると、オンプレの方がカスタマイズも柔軟にできて安価に済む、と決断する情報システム担当者も多く、AWS を採用できない企業もまだあります。
 
クラウドを利用したいが、コストを気にせずにシステムを立ち上げっぱなしにしたい、月々かかる利用料を一定額として予算計画を立てたい、という場合にはレンタルサーバーの利用もおすすめします。
 
レンタルサーバーは定額制のため、稼働状況を気にせずに年間の予算計画が立てやすいです。またバックアップも提供会社が行うため、保守費用も最小限に抑えられます。
 
AWS の導入を検討する際は、自社の現状と照らし合わせて、適したサービスを利用しましょう。

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