インターネット経由でクラウド上にデータを保管できる「クラウドサーバー」を導入する企業が増えてきています。
物理的サーバーを保有する必要がないなどメリットの多いクラウドサーバー。サーバーの提供会社が強固なセキュリティ対策を行っているため、基本的には使用するリスクは低いものの、自社でのセキュリティ対策を怠ると思わぬリスクを招く場合があります。
そこで本記事では、クラウドサービスを利用するにあたってセキュリティ対策が必須な理由や、具体的な対策方法について解説します。
目次
クラウドサーバーとは
クラウドサービス(クラウドサーバー)の利用に情報セキュリティ対策が必須な理由
クラウドサーバーの情報セキュリティ対策例
クラウドサーバーを利用するなら情報セキュリティ対策も意識しよう!
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クラウドサーバーとは
まずは、クラウドサーバーについて説明します。クラウドサーバーとは、サーバー管理会社が提供する物理的なサーバー内に複数の仮想サーバーを作り、その仮想サーバーを使用する(レンタル)するものです。
物理的には1つのサーバーのため、サーバーをレンタルしているユーザーが複数いる場合 CPU やメモリは共有しますが、仮想サーバーごとにきちんと割り当てて管理するため、サーバーの性能まで共有することはありません。そのため、クラウドサーバーは他のユーザーの影響を受けにくいという特徴があります。
詳しくはこちらの記事でも解説しているので、あわせてお読みください。
レンタルサーバーとクラウドサーバーの違いは?クラウド化のメリット、デメリットを解説
クラウドサービス(クラウドサーバー)の利用状況
補足情報として、クラウドサーバーを含むクラウドサービスを利用する企業の数についても解説します。
総務省の発表したデータによると、2019年の時点でクラウドサービスを利用している企業の割合は64.7 % 、2020年になるとその割合は68.7 % にまで増えています。
またクラウドサービスを導入した効果について、「非常に効果があった」「ある程度効果があった」と回答した企業は87.1 % となっています。
参照:総務省 令和3年版「企業におけるクラウドサービスの利用動向」
この傾向を見ると、今後もクラウドサービスを利用する企業はさらに増えていくことが予想できるでしょう。
クラウドサービス(クラウドサーバー)の利用に情報セキュリティ対策が必須な理由
クラウドサービスを利用する企業の増加にともない、総務省は情報セキュリティ対策をするように呼びかけています。
参照:総務省 クラウドサービスを利用する際の情報セキュリティ対策
では、なぜクラウドサービス(クラウドサーバー)を利用する際には情報セキュリティ対策が必要なのでしょうか。
インターネット回線を利用しどこからでも利用できる
まず理由としてあげられるのは、インターネット回線を利用しているという点です。
クラウドサーバーは、インターネットを経由してクラウドにログインし、データを保存・管理することができます。そのためログイン情報を知っていて、インターネット回線と端末があればどこからでも利用できる点が大きなメリットです。
その一方、ログイン情報が社外の第三者に知られてしまった場合、その人物もクラウドサーバーにアクセスできてしまうというリスクもあります。
しっかり対策をしないとクラウドサーバーのメリットがデメリットになってしまう可能性があるのです。
サービス提供会社の情報セキュリティ体制に依存する
クラウドサービスの情報セキュリティ体制は、サービスの提供会社に依存する形になります。
情報セキュリティ体制が整備されていない会社のクラウドサーバーを利用してしまうと、不正アクセスによる情報漏えいやデータ改ざんを許してしまう可能性も考えられます。
また、サービス提供会社でシステム障害が発生したことによるデータ消失などのリスクも考えられるでしょう。
こういったリスクを踏まえて総務省は、クラウドサービスを利用する際は、サービスの提供会社が以下のような対策を行っているかどうか確認することを呼びかけています。
- データセンターの物理的な情報セキュリティ対策(災害対策や侵入対策など)
- データのバックアップ
- ハードウェア機器の障害対策
- 仮想サーバーなどのホスト側の OS 、ソフトウェア、アプリケーションにおける脆弱性(ぜいじゃくせい)の判定と対策
- 不正アクセスの防止
- アクセスログの管理
- 通信の暗号化の有無
引用:総務省 クラウドサービスを利用する際の情報セキュリティ対策
クラウドサーバーの情報セキュリティ対策例
クラウドサーバーを選ぶ際は、提供会社がしっかりとした情報セキュリティ体制を整えているかどうか確認することが重要です。しかしそれだけでなく自社でも対策することで、より強固な情報セキュリティ体制を作ることが可能です。
では、自社でできる情報セキュリティ対策にはどのようなものがあるのでしょうか。いくつか例を紹介します。
データを暗号化する
データを暗号化することで、第三者によるデータの盗聴や改ざんなどを防ぐことが可能です。
方法としては、VPN (Virtual Private Network) を利用したり、通信を SSL (Secure Sockets Layer) 化したりすることが挙げられます。これによりクラウドサーバーにデータを保存、あるいはクラウドサーバーからデータをダウンロードする際などに、データが狙われるリスクを下げることができます。
SSL 化について、こちらの記事で詳しく解説しています。
今さら聞けない常時 SSL 化の必要性、費用、導入方法について
アクセス情報の管理・見直しを行う
クラウドサーバーにアクセスするための情報( ID・パスワード)が漏えいしてしまうと、不正アクセスのリスクが高まります。このような事態を防ぐために「アクセス情報を誰でも見られる場所に残さない」「社外からサーバーにアクセスしない」などのルールを設け、管理を徹底しましょう。
また同じアクセス情報を何年も使い続けている場合も注意です。例えば退職者が出た場合、同じアクセス情報を使い続けているとその退職者が社外から不正にアクセスできてしまいます。「覚えやすいパスワードを避ける」「定期的にパスワードを変える」などの対策が必要です。
あわせて、サーバーのアクセス権限を設けて、社内でも権限のある人しかアクセスできないようにするのも効果的な対策となります。
アプリケーション・OS のセキュリティを強固にする
アプリケーションや OS が脆弱だと、その脆弱性を狙われ外部からサイバー攻撃をされてしまう可能性もあります。
クラウドサーバー事態のセキュリティ対策だけでなく、各アプリケーション・OS のセキュリティも強固にするよう意識しましょう。
最新バージョンにアップデートすることで、脆弱性を解消できる場合があります。
また、企業で許可されていないソフトウェアをインストールしないことも効果的な対策になります。インターネットでダウンロードできるソフトウェアの中には、マルウェアが潜んでいるケースや、セキュリティ対策が不十分な場合があります。
こまめにデータのバックアップをとる
クラウドサーバーの提供会社で起きたシステム障害などにより、保存していたデータが消失するリスクがあると先ほど説明しました。よほどの事件・事故が起きない限りデータが消えることはないと思われますが、万が一ということがあるので、データのバックアップをこまめにとっておきましょう。
バックアップデータは、オンプレミス型のサーバー(自社が管理する施設内に置かれたサーバー)に保存しておくと安心です。
データを分散して保管する
クラウドサーバー内のデータはなるべく分散して保管し、1つのフォルダに全てのデータをまとめないようにするのがおすすめです。例えば全てのデータを1つのフォルダに格納してしまうと、そのフォルダが何らかの問題で消えてしまった場合、全てのデータを失ってしまう可能性があります。データは分散して保管することで、このようなリスクを避けることができます。
またデータを分散して保管する場合、どのデータがどこに入っているかを明確にしておくことも大切です。データの保管場所が分からないと混乱を招きやすく、業務に支障が発生する可能性も考えられます。
クラウドサーバーを利用するなら情報セキュリティ対策も意識しよう!
クラウドサーバーの提供会社でも情報セキュリティ対策を行っており、ユーザーが安心して利用できるようなサービスを構築しています。
しかし、現実に企業の顧客情報などが漏えいする事件が起こっていることを考えると、できる限り万全な対策をとっておく必要があるでしょう。
もしクラウドサーバーを利用するならば、あわせて情報セキュリティ対策についても理解を深めましょう。自社でのセキュリティ対策が難しければ、クラウドサーバーの運用代行会社を利用したり、専門知識を持つ人材を採用したりするなどの対応が必要になると考えられます。
クラウドサーバーの運用代行会社について、こちらの記事で詳しく解説しています。
AWS の運用代行会社とは?比較するときのポイントを解説